1:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:21:51.66 ID:27ag2P9ZO
善子「(私津島善子にとって、人生とは不幸の連続だった)」
善子「(生まれ持った不幸体質は齢を重ねるごとに強くなっているように思われ、幸運なことなどこの身に降り注ぐことが無いように感じられた)」
善子「(そして、今こうして話し相手も得られず教室でぼーっとしてるのもまた、不幸の一つだった)」
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2:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:23:08.23 ID:27ag2P9ZO
善子「(不登校明けの私には友達がいない……クラスメイトと話したことが無いのだから当然だった)」
善子「(そんな私でもかろうじて名前と顔が分かるのは二人……)」チラッ
3:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:23:51.26 ID:27ag2P9ZO
善子「(そしてもう一人は……)」チラッ
ルビィ「………ヒッ!」
4:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:25:46.74 ID:27ag2P9ZO
善子「はぁ……」
花丸「溜息は幸せが逃げるずら、善子ちゃん」
善子「ずら丸……もう逃げる幸せなんて残ってないっての」
5:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:26:16.35 ID:27ag2P9ZO
花丸「そうだ、何か部活とか入ったら? 善子ちゃん結構凝り性だったはずずら!」
善子「部活の中なんてとっくに輪が出来上がってるわよ……私が学校行ってない内に」
花丸「一年生だから歓迎されると思うけどなあ……」
6:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:27:09.60 ID:27ag2P9ZO
花丸「もう!善子ちゃんはさっきから暗すぎずら! もう少し明るくしてくれないとこっちまで気が滅入るずら」
善子「いいじゃない…何も全員が全員、女子高生がキラキラすることないじゃない」
善子「こうして何もせず、穏やかに過ごしていくのも悪くないわよ」
7:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:28:01.83 ID:27ag2P9ZO
花丸「……しょうがないなあ……そんな幸薄で根暗な善子ちゃんにマルがとっておきの本を貸してあげるずら」
善子「アンタボロクソに言うわね……それに本って、 私活字苦手なのよね」
花丸「いいから! はい、明日までに読んでくること!」
8:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:28:59.01 ID:27ag2P9ZO
善子「(タイトルから予想出来る通り、本の中身は怪しげな自己啓発本だった)」
善子「(揺れるバスの中文字を追っても頭に入るものは何一つなく、車酔いを和らげるため川岸で気分を落ち着かせる羽目になっただけだった)」
9:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:29:41.97 ID:27ag2P9ZO
善子「(ただ一つだけ、ひっかかる言葉があった)」
善子「(その言葉は、本の終盤に出て来た)」
10:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:30:09.51 ID:27ag2P9ZO
【教室】
花丸「昨日の本、読み終わったずら?」
善子「ええ、読みおわったけど……さして中身が無いわね」
11:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:30:37.06 ID:27ag2P9ZO
善子「ん?……待ちなさい、楽しいって…アンタやった事あるの?」
花丸「やったことも何も、今もやってるよ?」
善子「えっ……」
12:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:32:14.34 ID:27ag2P9ZO
善子「ずら丸、立ちなさい」
花丸「“わかった”ずら」スクッ
善子「三回回ってにゃあと鳴きなさい」
13:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:33:13.23 ID:27ag2P9ZO
善子「(ここまですれば流石に……)」
花丸「…………」
善子「……何よ」
14:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:33:56.26 ID:27ag2P9ZO
善子「(これはどういう絵面なのだろうか)」モミモミ
花丸「ああもう、善子ちゃん触る力強すぎ……ずら」
15:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:34:49.94 ID:27ag2P9ZO
ザワ……ザワ……
16:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:35:21.76 ID:27ag2P9ZO
【授業後】
善子「さて……さっさと帰ろ、今日は長めに配信するって告知しちゃったし」
17:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:36:06.68 ID:27ag2P9ZO
ルビィ「あの……今日ルビィ、掃除当番なんだけど……今日どうしても用事があって……」
善子「代われってこと?」
ルビィ「あ、あの……次当番の時はルビィが代わるから……」
18:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:36:32.29 ID:27ag2P9ZO
善子「(いつもの私なら断っていただろう、配信の約束を反故にする程、向うの用事はどうしても、という物でも無い)」
善子「(しかし、私の頭には朝の出来事が蘇っていた)」
19:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:37:38.53 ID:27ag2P9ZO
【体育倉庫】
善子「(引き受けた掃除当番は、グラウンドの倉庫の掃除だった)」
20:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:38:49.47 ID:27ag2P9ZO
善子「まあ、もう適当に終わらせてさっさと帰ろ…」
善子「ええと、次に砲丸投げの玉の数を…よいしょっと……」
21:名無しNIPPER
2018/12/03(月) 21:39:33.25 ID:27ag2P9ZO
善子の手からこぼれ落ちた砲丸は、そのすぐ真下にある彼女の足の指へと直撃した
骨を砕くような鈍痛が、体の末端から脳を揺さぶる様に全身へと駆け巡る
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