24: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/04(火) 19:27:18.61 ID:KkkdUbN10
「志希。ぼーとしてるとこ悪いけれど、そろそろ帰らないかしら?」
見上げると、口裂け女から元の美貌に生まれ変わった奏ちゃんの呆れた顔があった。
あたしが記憶の海を潜っている間に、化粧落としは終わったみたいだ。
「仁奈ちゃんのことでも考えてたのかしら?」
「にゃはは。そうとも言えるしそうじゃなかったかも。志希ちゃん、忘れちゃいましたー」
じーとあたしの顔を見つめたあと。
余計なお世話なのはわかっているけれど、とらしくない前置きをして言った。
「ペットとか預かると情が移ってしまうって話を聞いたことあるわ。ママが帰ってきて別れるときに、落ち込まないようにね」
落ち込む? あたしが?
にゃはは。しょんぼりしてるあたしの姿なんてまったく想像つかないけど、そうなったらそれはそれでおもしろそうだ。
「とにかく出ましょうか。1週間記念日ってことなら早く帰ってあげたら?」
ドアのほうへ歩き出したうしろ姿に、あたしも続く。
記念日かー。
誕生日だろうが祝日だろうが、あたしにとって365日はどれも等価値だけど、世間というものはどうやら特別な日をつくりたがる性格があるらしい。
このまえ事務所もアニバーサリーやってたしね。
仁奈ちゃんもそういうのを大切にするタイプなんだろーか。
「……」
ふむ。
なんかお腹すいてきちゃった。今日の晩御飯はハンバーグにでもしてみよーかな。
ハンバーグなら、子どもも好きだろうし。
ほんとうになんとなーく。志希ちゃんは、いつだって気まぐれなのだ。
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