バットマン「グランド……オーダー?」レオナルド「その3だね」
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116: ◆GmHi5G5d.E[saga ]
2018/11/25(日) 20:52:23.06 ID:cGh5K5DM0



 『彼女』は、妨害が果たされないと分かっていた。ゆえに、そのインパクトの瞬間、予測される落雷地点へと走っていた。


「ウゥ、ウゥウゥウゥゥゥ……!!!」


 とてつもない放電量を、彼女は体内へと取り込んで行く。皮膚にはいくつもの水膨れができ、抑えきれぬ電撃が彼女の体表を走り苛む。彼女は、泣く事すらできないと言われていた完璧な乙女は、まるで涙のように目から電撃を零し、限界までエネルギーを溜め込んで行く。


「何だと!?」


 テスラは狼狽える。雷電の化身たる、自分の全力の落雷が受け止められている。その行動は本意ではなかったとはいえ、彼のプライドは揺らいだ。このエネルギー放出は何処まで続けられる。あの乙女は、いつまで自分の落雷を受け止めていられる?

 知らず知らずのうちに、テスラの口元に笑みが浮かんだ。


「ハハハハ!!! ハハハハハハハハハ!!! 面白い、天才たるこの私に挑むというのか!! 骨のある女性だ!!!」


 フランの関節から光が漏れ出す。体内エネルギー、危険域。その右腕が肘先から吹き飛び、鮮血じみて電撃が噴き出す。だが彼女は倒れなかった。必ず助けが来ると信じ、耐えた。人は一人では完璧足りえない。それは分かり切った事であり、彼女の信念なのだ。


 テスラは光の階段を駆け上って来る赤い稲妻に気付く。それは剣を構えた騎士の全身から迸るエネルギーだ。モードレッド。未だ残る毒を気力でねじ伏せ、恐ろしいまでの気迫で迫る。

 その一瞬、気圧された雷電の化身は放電を取りやめ、迎撃に切り替えようとした。が、それは叶わなかった。地上から天へ向け、爆発的な雷撃が遡った。それはテスラの身を打ち、怯ませた。


 フラン。抑え込んだエネルギーを、お返しとばかりに放出したのだ。黒い煙を全身から立ち昇らせながら、満足げに笑みを浮かべている。テスラは敗北を悟り、彼女へ無言の称賛を送った。


 そして彼の胸を、剣が貫いた。






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