5: ◆uc9JpVKLUc[sage saga]
2018/11/12(月) 21:10:29.09 ID:AiF+zHKuO
故郷、友達、そして……家族までもがその炎に焼かれていった。
当時、深く敵を憎んだ僕は、学生という身分を捨て、希望する友達たちと志願して軍に入った。
理由はもちろん家族と友達を殺した敵を殺すため。
まぁでも、始めにやっていたことは主に機械の整備だったけれど。なんだか適正があったらしい。
でもそれも日本が不利になるにつれて副業のようなものになり、手にしていた軽いスパナは重たい銃に変わっていた。
銃を持つ期間より、スパナを持っていた期間のほうがずっと長かったはずだけど、何故か僕は銃を持っていた時期のほうが長かったような感覚がある。
結局、僕は敵を憎んではいたけれど、人を殺したりはしたくなかったのだろうと思う。
実際、本当のところはどっちなのかはもうわからないけれど。
いずれにしても、僕が何人敵を殺したかわからなくなって、敵に対する憎しみが自殺願望に変わるころに戦争は終わった。
そのころには軍に志願した友達たちはみんないなくなっていた。
戦いは何も生まないとか聞いたことがあったけど、本当にその通りで、終わったころには僕にはもう何も残っていなかった。
世界中は戦争に疲弊し、どこかの偉い人が
「もう二度と戦争などしない」
とか言っていたような気がしたが、もうそんなことどうでもよかった。
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