2: ◆lDtkFK7dhc[saga]
2018/11/09(金) 11:53:51.82 ID:jnvTL2Z0o
【1マシュ 2雑魚】
敵の数が減らない! 既に一時間以上も戦闘が続き、先輩の顔色がとてと悪くなっている。
私でなくモードレッドさんなら、ガウェイン卿なら、お父さんなら!
……自分の非力さが嫌になる。
「先輩! 敵の数が多すぎます!」
「ここで逃げたら皆が危ない! マシュ、力を貸してくれ!」
「く……っ! 分かりました、戦闘続行します!」
先輩はとても優しくて暖かくていつも誰かの為に戦っている。自分が傷ついても笑顔で、私たちを安心させようとしてくれる。
私が頑張らないと……先輩を失う訳には……!
「マシュ! 危ない!」
「え?」
先輩が私に抱き付いて来て……。
ジ、ジュッ!
嫌な音が聞こえてきた。聞き慣れた音だ。肉に何かが刺さる音。
そして赤い液体が辺りに散った。
「あ、ぐ……ま、マシュ……」
「あ……あぁ……! せ、先輩……!」
先輩の背中から……長い棒が突きたっている。
先輩の口から血が溢れた。
信じられない。信じたくない。
先輩が、私を庇って、槍に刺されている。
「う、ぁぁぁああああ!!!」
先輩と盾を無我夢中で持ち上げて、私は走った。
後ろに守るべき人達がいる筈なのに、私は逃げた。
失いたくない。彼だけは失う訳にはいかない。
もうそうなってしまったら、私にはもう何も残らなくなってしまう。
「先輩!」
私は何度も声をかけ続けた。
呼吸の音が小さい。傷口から血がダクダクとあふれでてくる。
嫌だ! 嫌! こんな事……私のせい……!
どこまで走ったのかも分からない。
もう背後に敵の気配は感じられなかった。
私は……私は冷たくなった先輩を地面に下ろす。
「…………先輩……お願いです、死なないでください……」
「…………」
いつも私に笑顔で応えてくれる先輩は、目を閉じたままなんの反応もない。
息をしていない。守らなければいけない人に守られて、大切な人を失ってしまった。
視界に映る全てが歪んでいく。
私には、もう、何も――
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