14: ◆lDtkFK7dhc[saga]
2018/11/10(土) 20:40:56.77 ID:4cZCuCUQo
初めて彼を見たとき、私は運命の残酷さを嘆いた。
私のマスターは、とても優しいだけの少年だった。
何も知らず何もできない。
それでも周りを励まし、非力なまま一歩でも前へと足を進める。
絶望的な戦いだと理解しているのに挫けない、倒れることだけはしまいと胸を張っている。
私は彼の助けになりたいと心から思った。少しだけ……彼の影に義仲様を感じてしまったのもあった。
私は迫り来る敵を全て討ち倒し、マスターと共に多くの戦場を駆けた。
そして……マスターはどんな英雄にもなし得ないであろう偉業を、多くの英雄との縁を以て達成してしまった。
全てが終わっても彼はまったく変わる事なく、笑顔であり続けた。
私はマスターの笑顔を守る為にカルデアに残ることを誓った。
ポトッ……
マスターの守ったこの世界を共に守っていこうと……そう思って……。
マスターの頭が地面を転がる。
…………これは?
身体が動かない。私はそれを見ている事しかできない。
頭部の無いマスターの身体が力無く崩れ落ちる。
そこに立っているのは黒い靄に覆われた……私だ。シャドウサーヴァント?
何故? 私はまた……またなにもできなかった?
あの時のように……?
「う……ぐ……っ!」
金縛りにあったかのように動かない身体を無理矢理動かそうとする。
だがどれだけ力を込めてもピクリとも動かない。
黒い私がゆっくりと近付いてくる。
目の前に立ち、薙刀を振り上げた。
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