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83:名無しNIPPER[saga]
2018/09/02(日) 17:48:06.87 ID:VDSOgwnF0
鉄雄「ッ、ァ」

静香の瞳と合う。

その目は最初出会った頃とは違い、澄んだ瞳をしていた。

青い、碧い、深海の奥底の様に淡い瞳。

その目を見て、俺は、体が熱くなる。

嗚咽がする、胸元から引き裂かれる様な痛み。

あまりの痛さに暴れたい程に、体が引き裂かれそうで。

地面に倒れる。うつ伏せになって息が苦しくなって、腕を使って仰向けになった。

『腕を使って』？そんな、可笑しいだろう、俺はさっき、腕が吹き飛んだと言うに。

俺は朦朧とする意識の中、無いはずの腕を見た。

其処には、腕がある。黒い、黒い、黒い色をした、光を吸って鈍い輝きを放つ、まるで金属の様な腕が。

何が起こった。そう考える前に、腹部が痛む、嗚咽が漏れて思わず洗面台に駆け込んだ。

胃の中にあるもの全てをブチ捲く感覚。吐瀉物は、血と肉がミンチになった様なものが溢れている。

何かが可笑しい、俺は鏡を見た。憔悴仕切った顔で、俺はふと気が付いた。

いや、気づかされた、と言うのが正しいか。

俺の、片側、片方、片目の、眼球の色が、『赤く』染まっている事に。

『私の声が、聞こえますか？』

脳内から響く様な。鋼を弾いて響く振動の様な感覚が脳髄に。

俺は、その声の正体を、不思議と知っていた。

鉄雄「お前か……静香」

そう言って、自分の情報しか喋れない少女が、頷いた。

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