42: ◆akTsNxs6xE
2018/08/19(日) 13:34:40.52 ID:M21qly2+0
「急いで救急車! それと警察も早く!」
「逃げたぞ! 追えー!」
騒がしい声や雑踏が徐々に小さくなっていく。
いかな百戦錬磨のいくさ人、前田慶次といえど、鉄砲で撃たれれば無事では済まない。
左胸を射抜かれ、流れ出る鮮血と同時に奪われていく熱が、慶次に鮮明な終わりを告げていた。
しかし、頭部には陽だまりのように優しいぬくもりがあった。
貴音「……どうして、避けて下さらなかったのですか?」
目を開くと、目に涙を溜めた貴音の顔があった。
そこで慶次は、ようやく己の頭が貴音の膝の上にあると気づいた。
慶次「どうしてだって? ははっ、決まっているじゃないか」
あの時、身を躱していたなら凶弾は貴音の柔肌を貫いていたであろう。
しかし、慶次は敢てそれを口にはせず、貴音の目尻の涙を指でそっと拭い、ただ一言だけ呟いた。
46Res/33.65 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20