214: ◆tHYtfyUBW.[sage saga]
2018/08/15(水) 18:09:42.59 ID:L0ciGIt40
[054170 AD 2199 08/15 18:32]
あの日、8月15日は、平凡でいい一日だったと思う。
救急車のサイレンの音と、微かな振動。途切れ途切れになる意識の中で、にこの声を聞いていた。
もう、目の前は真っ白になっていて、何も見えない。
「大丈夫」とか「しっかりして」とか、多分そんなことを言っていたと思う。
さっきまでは苦しくて苦しくてどうしようもなかったけど、今はもう、そういう風にも感じなかった。
でも、もう苦しくもなくなった。多分もう、私の中の「苦しい」っていうのを感じる部分が、死んでしまったんだと思う。
ガシャ…
担架が救急車から降ろされるような音。病院に着いたみたい。
音が耳の周りでボワンボワンと反響する感じになって、いよいよにこの言葉もニュアンスだけでしか聞き取れなくなってきた。
長い電子音も聞こえる。心臓も止まってしまったのだろう。
でも、『多分病院のベッドの上である場所』で聞いた、にこの言葉だけは聞き取れた。
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