56:名無しNIPPER[sage]
2018/08/16(木) 03:25:04.00 ID:1RkWeFQA0
麻弥「……行っちゃいましたね」
千聖「……ええ。なんだか本人がいないところでスケッチブックを見てるのってちょっと覗き見をしているみたいね」
麻弥「まぁ……でも彩さんが見てていいよって言ってくれたんですし」
千聖「……そうね」
千聖(でも、なんだろう。何かがすごく心に引っかかっている)
千聖(普段見ている彩ちゃんと、このスケッチブックに色鉛筆を走らせる彩ちゃん)
千聖(その姿が私の中で一向に合致しない。それどころか、考えれば考えるほど、どんどん離れていっているような気さえする)
イヴ「……あれ?」
麻弥「どうかしましたか、イヴさん?」
イヴ「いえ……このスケッチブック、最後の方のページが綴じられてしまっていますね」
日菜「あ、ほんとだ。ホチキスで止めてある。変なの」
千聖(2人の言う通り、最後の10ページくらいはホチキスで無造作に綴じられてしまっていた)
千聖(丁寧に、几帳面に、紙面の縁に沿うようにして、12個のホチキスの芯が見える)
千聖「まぁ……彩ちゃんのことだから、失敗した絵は見れないようにしてあるんじゃないかしら」
千聖(口にしながら、その言葉の違和感を強く感じる)
千聖(彩ちゃんのことだから)
千聖(彩ちゃんのことだから?)
千聖(彩ちゃんのことだから……失敗した絵は、どうするだろう)
千聖(そのままにしておいて、『えへへ、失敗しちゃったんだ』と照れ笑いを浮かべる)
千聖(あるいはそのページだけ破いて、『これはなかったことにしよう!』と明るく言う)
千聖(その姿は考えられるけど、だけど、ホチキスで止めてそのまま放置するなんて……彩ちゃんはするだろうか)
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