巌窟王「これは、嘘で世界を変える物語だ」 アンジー「あなたの名前は――」
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528:逆転の人  ◆SxyAboWqdc[saga]
2019/08/08(木) 23:56:38.02 ID:MPv1zc2j0
巌窟王「……ハ。俺はこの期に及んで……何故こんな場所に」

巌窟王(マンホールの中。出口と書かれた罠の在処。俺はそこを死に場所と決めたらしい)

巌窟王(我ながら随分と女々しい)

巌窟王(だが……)

巌窟王「……すべてを昨日のことのように思い出せる。ここでアイツらと出会ってすべてが始まり……」

巌窟王「そして終わる」

巌窟王「……卒業アルバムの完成くらいは目にしておきたかった。今となってはそれが唯一の心残りだな」

巌窟王「それだけしか心残りがないくらい、好き勝手したということだが」

巌窟王「……」





アンジー『……』

アンジー『神様、ですか?』





巌窟王「違うな。俺は――」

巌窟王「ただの、人だ。星空に心を打たれ、別れに涙するような」

巌窟王「そういうただの人間になってしまった、この場限りの影法師だ」ウトウト

巌窟王「……アンジー……俺も……楽しかっ……」コックリ コックリ

巌窟王「…………」


パキンッ サラサラサラサラサラ……




静寂の中で男は目を閉じた。
すべては闇の中に消え、痕跡は跡形もなく。

だが、それが彼にとっての救いだった。
何も残らないからこそ、彼は呵責無く学園の法則すら捻じ曲げてみせたのだから。

復讐鬼からヒトへ戻った男は、結果的に物語と同じ末路を辿る。

どこへなりとも消え去った。

伴がいないことだけが、物語と今との相違点だった。


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