290:名無しNIPPER[saga sage]
2019/11/22(金) 17:43:34.72 ID:dVGs9va+o
みこと「秋槻さん……?」
秋槻「え?」
みこと「どうかしたの?」
秋槻「あ、いや……急に懐かしいこと思い出してね……」
みこと「……なにかあったの?」
秋槻「別に、大したことじゃないんだけど」
みこと「……聞きたい」
秋槻「う、うん……。母親から聞いたことで、俺自身はあまり覚えてないんだけどさ」
みこと「うん」
秋槻「小さい頃、近所で迷子になって……。発見されたの隣町だったんだよ」
みこと「……」
秋槻「見つけた時の俺、平然としてたって」
みこと「……?」
秋槻「『お母さんから離れるとすぐ泣くくせに、心細くて泣いているだろうって、必死に探したのに、
お前はなんにもなかった、むしろいいことがあったみたいにニコニコしてた』って言われてね」
みこと「どうして?」
秋槻「さっき、君が言ったように……小さい俺も、不安や怖さより好奇心の方が強かったのかもね」
みこと「……」
秋槻「親の気持ちも知らずに、見知らぬ場所でドキドキして楽しんでたのかな」
みこと「きっと、旅に出たかったんだよ」
秋槻「物心つかない子供が?」
みこと「うん」
秋槻「ははっ、それだと結構な大物だったよね、小さい頃の俺って」
みこと「うん……!」
秋槻「……やけに自信あり気に言うね」
みこと「私がそうだったから」
秋槻「……」
みこと「ずっと……してみたかったから。
本の世界と同じように、現実の世界でも知らないことを知りたかった」
秋槻「そっか……なるほど」
みこと「うん……もぐもぐ。……おいしい」
秋槻「やっぱり正解だったかもな……」
みこと「……?」モグモグ
秋槻「なんでもない」
……
…
545Res/802.74 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20