616: ◆B54oURI0sg[sage saga]
2019/11/10(日) 22:04:41.68 ID:uNxJvj2DO
『あたしは…』
そこでそれまで黙っていたY子さんが口を開いた。それを見て八島は動きを止める
『…あたしは自分の名前が嫌いだった』
そうしてY子さん…かつて「八島」という名を与えられた兵器の苦しみを私は垣間見た
『かつての世界、その先の未来において無数の命を奪った兵器に付けられた名前…』
八島『改良に改良を重ね、破壊に特化したその兵器で人類は深海棲艦との戦いに勝利した』
呼応するように同じ姿をした彼女も話し出す
『だけど用が済んだからと一度手にした強大な力を人間が手放せる筈は無かった』
八島『そうして新たに始まるのは人間同士のそれまでよりも醜い争い』
『仮にも人類の敵と戦うと手を取り合っていた時がどれだけマシだったかと思える程に』
八島『そこに艦娘という人よりも遥かに強い人間に似た精神構造を持った存在が更に拍車を掛けた』
『量産型まで開発され、それを使って戦う艦娘に対して、その相手もまた艦娘』
八島『強力な兵器を持って艦娘は敵味方に別れて戦い続ける』
『そうしていつしか艦娘達は戦う為に戦う存在に成り果てていった』
八島『それを止めようとした人間や、そして艦娘にも兵器「八島」は幾度となく使われ、犠牲者の数は敵も味方も無く膨れ上がり続けた』
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