22: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/07/16(月) 22:35:55.39 ID:/aS1s4K/0
○
「んじゃ、また」
「うん。ご飯、ごちそうさま」
「こちらこそ」
「そういえば、こういうときのお決まりの挨拶はないよね」
「? ああ、行ってきますとかの話?」
「そうそう。あの話でいくと、今の私は玄関から玄関に行く感じだなぁ、って思って」
「あー、確かに。不思議な感じだ」
「ね。でも、変な感じはしないんだよね」
「行ってらっしゃい、って言った方がいい?」
「それはなんか違う気がする」
「だよな」
「よくわかんなくなってきた」
「俺も」
顔を見合わせて、くすくす笑って、最終的に「またね」と車を降りた。
助手席の窓がゆっくり降りて「おやすみ」とプロデューサーが言う。
「うん。おやすみ」
私が返すと、プロデューサーの車はゆっくり進み出し、だんだんと遠ざかって行く。
その後ろ姿が見えなくなったところで、くるりと家の方向へと向き直る。
リビングルームの灯りを見て、少し頬が緩んだ。
もうすぐ私は、今日二度目となる「ただいま」を二人と一匹に言うだろう。
おわり
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