凛「卯月に1ミリでもちょっかいかけたら殺す」
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1:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:07:53.80 ID:eCrKDArS0

渋谷凛はいわゆる不良のレッテルを貼られている。

高校に入学したばかりの4月、いきなり制服を着崩し、ピアスを開けて堂々と職員室の前を歩く姿に多くの生徒が恐れおののいた。

顔はすこぶる美人であったが愛嬌にやや欠け、人前では滅多に笑顔を見せなかった。

そのうえ曲がったことが嫌いな性質で、偉そうにふんぞりかえる先輩や教師どもにしばしば反発的な態度を取ってみせた。

クラスでは無駄に群れることを好しとせず、授業は真面目に聞いていたものの質問を当てられそうになると思い切りガンを飛ばすので教師間でも恐れられていた。

結果、友人が一人もできないまま高校1年の夏休みを迎えたのである。



(あれ? もしかして私、友達少ない……?)

凛がその事実に気が付いたのは夏休み明けの初日、二学期始業式の日であった。

教室全体が妙に和気藹々としている。

凛はふとイヤホンを外して周りに注意を向けた。

なにやらクラスメイト同士、夏休み前よりも一層親密な様子である。

窓際の席で孤独に音楽を聞き、ぼうっと窓の外を見ている生徒は凛の他に誰もいない。

凛は内心ひどく動揺し、いまさらになって慌てた。

しかし慌て始める頃にはもはや手遅れなのが常である。

(……友達、作ったほうがいいのかな)

夏の終わりの空をぼんやり眺めながら、凛はひとりそんなことを思った。


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