3: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/07/11(水) 22:03:13.93 ID:vjCokyM80
5月23日
久しぶりの休日。アパートで本を読んでいたら、母親から電話がかかってきた。
ばあ……おれの祖母を施設に入れるという。もう手に負えないという。
ばあは90過ぎだ。そして認知症をわずらっている。
ばあは家族の中で唯一おれをかわいがってくれた。おれのやることなすことに、いちいち「それが将来なんの役に立つ?」などと言わなかった。兄弟のなかでいちばん頭のできが悪いからといって、おれを諦めたりはしなかった。
だがおれは非常勤の調理補助になり、将来に希望はない。
そしてばあはおれのことをわすれてしまった。ばあの中では、おれは小学生のおれのままだ。
小学生のころ、一時期ばあの家にあずけられていたから、その頃の記憶が色濃くのこったのかもしれない。
ばあは今のおれがわからない。ばあにとっておれは、無愛想で、不器用で、不恰好な30過ぎのみにくい男でしかない。
105Res/29.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20