3: ◆foQczOBlAI[saga]
2018/07/09(月) 14:51:23.38 ID:9GZaroLJ0
「Pさんはなんて呼びますか?」
「ポッキン」
まさか、ここに来て第三勢力の登場です。背広をイスに掛けてネクタイを外してもなお暑そうです。
こんな日なのに大人は大変ですね。早く大人になりたい私も今日だけは遠慮したくなります。
「というかなんで君たちここにいるの」
「暇だったので涼みに来たんです」
「右に同じく」
Pさんは深いため息をついた。それだけで部屋の温度が上がった気がしました。
「ここは仕事の場所だぞ」
「Pさんは言いました。それは私がこの事務所に初めて来たときの事です。まだ自分の名前が好きではなかった頃、緊張で固くなっている私に向かって優しく微笑みながら我が家だと思って寛いでくれと。私はひどく感動しました。でも、それは全部嘘だったんですね……」
「私も言われたぞ。どの女にも同じ事を言うのだな」
「お前ら、卑怯だぞ!」
芝居がかかった口調。その後わかりやすい泣き真似をして見せる。やっててよかった演技のレッスン。
晶葉さんは白衣の袖で顔を隠し、よよよと泣いています。時代劇の仕事で身に付けたのでしょうか。
Pさんは諦めたかのようなため息をつき、仕事に戻りました。また室温が上がった気がしました。
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