29: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2018/07/03(火) 00:33:23.42 ID:Wze3yOnD0
古本屋さん――というのは正確には彼女自身のあだ名ではない。
「クロさん……ご無沙汰しています」
「久しぶり。今日は叔父さんは?」
「渡仏……しています。モントルイユの蚤の市に用がある、と……。暫く帰らないので、私が代理に……」
本来の店主がいない時に、姪の彼女が店を開く。なので言うなれば古本屋代理さんだ。
もともと筋金入りのインドア派だが、インスピレーションが刺激されるとのことで夜市は好きらしい。
「そちらの方は……?」
「ああ。うちの担当アイドルで、えーっとリボンちゃん」
「りぼんちゃんなのですー」
「そうですか……お人形のようで、とても可愛らしいと思います……」
「ありがとうございますー。そなたこそ、蒼玉の如く美しき瞳なのでしてー」
「ぁ……目は、その、隠れてしまっていて……お恥ずかしいです……」
前髪上げればいいのにな。せっかく綺麗な目なんだから。
じゃなくて。
「なあ、さっき何か困ってる風じゃなかった? なんかあったの?」
「…………あ」
今思い出した、という顔をした。
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