紬「フェアリーのFはフォーエバーのF…?合言葉?」
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15: ◆a/VLka4bp3Eo
2018/06/30(土) 19:02:51.34 ID:KY+4F9Bu0
 プロデューサー業に未練などない。
 やってることは楽しいし苦しいしやりがいはあるけど給料は人並みだ。
 きっと、高木という男に義理を感じていなければ、ここまでこの仕事を続けることはなかっただろう。
 アイドルは可愛いがそれだけでできる仕事でもない。当たり前だが。

「あなた様はわたくしたちにずっと一緒にいると頻繁に言ってるではないですか」
「俺が言った覚えはねえぞ。そもそもずっと一緒とか一番怖い言葉だと思うんだが」
「そうですか?心はそうは言っていないようでしたが」
「やっぱり心が読めるんじゃねえか」
「嘘です」
「嘘かー」

 ずっと一緒、という言葉をアイドルから言われることはよくある。
 アイドルというのは、テンションを限界まで高く保っていなければできない仕事だ。
 そりゃテンション高くなりゃ仲間をいとしく思うようになるし、踏み込んだ言葉もぽろっと出るだろう。
 それにしても春香はやりすぎだが。いや、俺も言い過ぎたけど。

「ずっと一緒ねえ……よく言われるが」
「あなた様はいけずです」
「やかましい。そもそもずっと一緒にいれるわけないだろ」
 アイドルったってそれこそずっと続けるわけじゃないし、俺だってその内この仕事辞めて別の仕事探さなきゃいけないかもしれん」
「その通りです」

 しかし、と銀髪を揺らして彼女は言う。

「それでも、永遠にともにいたいと思うのは間違いでしょうか」
「お前が言うとなあ……それこそ、お前の事情とか俺は何も知らんし。
 言っとくけど、俺が担当しているアイドルの中で一番先行き不安なのお前だからな?」
「ありがとうございます」
「ほめてねえよ、なんでそうなる」

 と、そこで電話が鳴る。
 携帯の着信音は、幸せを求める蒼い鳥を唄った歌。
 あるいは別れの歌だろうか。
 それを聞いて、貴音の顔は、悲しんだのだろうか。はたまた喜んだのだろうか。
 表情が動いたような気がしたが、それは読み取れなかった。



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