11: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/29(金) 19:51:49.45 ID:XuoQ6Ng60
「冷え性だから冷たいかも……」
「だけどほら、心があったかい証拠って聞くぞ」
私のそっと差し出した手が躊躇うことなく包まれる。
温かで、それでいて力強く。
時に守り、促し、繋ぎとめてくれる大きな手。
「なら、プロデューサーは心が冷たい人ですか?」
「どうして?」
「だってこんなに、手が、温かいから……」
すると彼は、からかうようにただ笑った。
アスファルトに広がる水の染みを二人で踏みつけ歩きながら、
私たちは駐車場の隅に止めていた車の前まで戻って来ると。
「車、二人で同時に乗れないかな」
「琴葉」
「運転席か助手席から、一人ずつ順番に乗り込めば」
「……オーケー。それでやってみましょ」
ぎゅうっと握りしめていた私の手が、
まるで返事をするようにむぎゅむぎゅと数回握り返される。
そうしてプロデューサーは、運転席を開け放つと車のエンジンをスタートさせ。
「さ、どうぞお嬢さん」
くっ、と腕が引っ張られて、雲の切れ間から顔を出した月明りの下で軽くステップ。
私は先に座っていたプロデューサーの椅子に膝を立てるようにして車の中へ乗り込むと。
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