勇者「休暇?」女神「異世界転生しすぎです、勇者さま」
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◆Rr2eGqX0mVTq
[saga]
2018/08/01(水) 01:57:57.59 ID:9OC/ch8I0
魔法で強化された剣を構える。そこに俺の全ての魔力を注ぎ込む。
これを倒す、いや消滅させるためには、こいつが自らを守る結界以上の破壊力を以て、一気に叩く他ない。
だから、そのための準備をしてきた。
一気に魔力を一点に集中させるための魔法。それをさらに倍以上に高める魔法。
そして、それにこの肉体を耐えさせるための守護魔法。
つまりは、一点集中型で、この戦いにしか役に立たないと言ったのは、その一瞬以降においては俺は普通の人間以下にまで弱体化してしまうからだ。
他の世界だったら、この方法で魔王を倒したとしても、その後に他の魔物に簡単に捻り潰されてしまうだろう。
「覚悟は、いいな」
自分の中の魔力が、それ以外の力の全ても、最高潮にまで高まったのを感じる。
これで、終わる。
何千年にも及んだ俺と魔王との戦いに、終止符が打たれる。
俺が狙いを定める中枢が、大きな雄叫びを上げた。もしかしたら、俺という存在を覚えているのかもしれない。
「いくぞっ!」
構えた剣を一気に振り下ろすと、強烈な閃光が空を走った。反動で自分まで吹き飛びそうになるのをどうにか堪えて、今の自分が持てる力の全てを放つ。
向こうの結界が弾き返す。しかしなおも俺の剣からは膨大な魔力が放出され、そこにドデカい穴を空けようとしている。
「うぉぉぉぉおおおおおおおおっっ!!!」
結界にヒビが入る音。あと少しだ。あれさえ割れれば、あとは――!
その次の瞬間――!
「……あれ?」
全身の力が、ふっと抜けた。
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