86: ◆KWjQNDTan2[saga]
2018/06/27(水) 22:31:08.00 ID:OlbWkhBM0
あなた(そうしているうちに次から次へとバンドが入れ替わり、遂にアフターグロウの出番になった)
あなた(ステージに、ギターを下げ、黒髪の一部に赤いメッシュを入れた女の子が姿を現す)
あなた(続いて同じくギターを下げてパーカーのフードを被った女の子、それから上原先輩、師匠、羽沢先輩という順番で、アフターグロウのメンバーが登場する)
あなた(ボーカルの人と師匠の時だけやたらと黄色い歓声が上がっていた)
あなた(それに対して、上原先輩が「私には声援ないの!?」と言いたげな、不服そうな顔をしているのが何だか面白かった)
「アフターグロウです」
あなた(静かな、芯のある声が会場に響く)
あなた(ボーカルの人の声だ。観客席のざわめきが小さくなる。視線もその子に集まる)
あなた(そんな中、俺は師匠の姿をジッと見つめていた)
あなた(ステージの師匠と観客席の俺)
あなた(その距離をかなり遠いと感じてしまうのは、それだけ師匠に近づけたことの証拠、なんだろうか)
あなた(ふと思ったことによく分からない焦燥感のようなものが胸の内に生まれたような気がした)
巴「…………」ニッ
あなた(と、そこで師匠と目が合う。師匠はいつもの気っ風のいい笑顔を浮かべ、グッと握った右拳を俺の方へ突き出してきた)
あなた(それだけで先ほど生まれた得体のしれない感情がどこかへ霧散していったような気がした)
あなた(俺も同じように、握りしめた拳を掲げて師匠に応える)
あなた(それから口パクで何かを伝えられた気がした)
あなた(多分、「楽しんでいってくれよ!」という形だった、と思う)
あなた(だから俺はそれに大きく頷いた)
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