42: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/23(土) 06:50:48.35 ID:NI6HsOLJ0
そうして彼女は、えぐえぐと小さくえずきつつも座っていた椅子から立ち上がった。
体に巻いていたタオルを静々と外し、
それで自身の長い髪を包み込むようにして纏めたら。
「……どいて」
「え?」
「入るからぁ、どいてぇ……!」
湯船に浸かるプロデューサーを見下ろして、
響は自分の番が(とりあえず今は)終わったことを告げたのだ。
彼女より先に薬品漬けになっていた彼は、なるほど、
確かにそろそろ薬を洗い流すのに丁度よい頃合いになったもんな――と一人合点して頷くが。
だがしかし、これでプロデューサーは困ってしまっていたのである。
テクニシャン星梨花の手により涙目にまでなった響には気の毒だが、
彼には彼ですぐには立ち上がれない事情があった。
いやいや、見方によっては既にタチ上がっているとも言えようが……失礼。
「交代だから早く出てよぉ」
訴える響とは目を合わさないようにして彼は言う。
「いやぁ、出たいのは出たいけど……急に海パン一枚なのが恥ずかしくなって」
「なにそれ!? ワケが分かんないからぁっ!」
49Res/37.58 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20