38: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/22(金) 22:06:48.83 ID:KEuP8EvK0
「はっ、はやく、はやく全部やって! 我慢できるうちに最後までシてっ!」
両腿を強く擦り合わせて、肩を強張らせながら頼む悲鳴にも近い彼女の懇願。
甚だはしたない話になるが、先ほどから尿意を我慢するのにも近い
感覚の波が響のことを苦しめ続けていたのである。
僅かでも気を緩めたが最後、張り詰めた糸を切らしたように
甲高く間抜けな声を漏らしてしまう……。そう予感させるだけの焦りがあった。
しかし星梨花は、無情にも作業の手を一旦休めると、
傍らに置いておいたボトルから新たに薬液を計り取り。
「焦らないでください。響さんは髪の毛の量が多いですから――」
期待に反した答えを受け、椅子の上でくったりと脱力した響を前にくすくす笑ってこう続けた。
「もっとしっかりシャンプーを馴染ませないと」
「ま、まだするの!?」と、泡が目に入ることを恐れて瞼を閉じっぱなしの響が訊き返す。
「当然です!」
「や、やあぁ……。おかしくなるぅ……!!」
そうして、再び浴室には甘い悲鳴が垂れ流され始める。
湯船に浸かるプロデューサーが眉間に多くの皺を寄せ、
その視線を天井の隅の汚れに固定する。
さらに彼は間近の耽美的光景の毒に当てられてしまった自身を恥じ、
強い理性による戒めをきかんぼうな体に求めつつも、如何ともしがたい淫らな邪念を払うため、
朝風呂とは贅沢な限りだよなぁ……
などという牧歌的空想世界へ意識を逃避させるのだった。
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