20:名無しNIPPER
2018/06/16(土) 13:54:31.81 ID:wG5X0u+s0
「知っての通り、わしは極道の家の人間じゃからの。ガキの頃から周りの人間は3種類しかおらんかった。
わしの腕っぷしや地位に釣られて、機嫌をとりにやってゴマをするハエども。
極道というだけでわしの事を避け、近寄ろうともせん臆病者。
わしを倒して天下を取ろうとする、身の程知らずのバカどもじゃ。
じゃが、東郷は違った。お前は、初めてわしの事を一人の人間として、ダチとして見てくれたじゃろ?」
「そ、それは…私と違って友奈ちゃんは強いから、憧れたっていうか…」
まだ自分に自信が持てない東郷に対し、友奈はさらに言葉を投げかける。
「それにな、わしは今まで抗争でどうしようもない雑魚を腐るほど見てきた。
よほど欲求が満たされんじゃろう、そいつらは…銃を持たせると、急に強くなりよる。
その銃がでかけりゃでかいほど、人が変わったように相手につっかかっていき!自分を誇示したがりよる!!
しかし、相手が自分以上の器だともうダメじゃ! ガタガタ震え、怯え……鳴きよる。鳴いたらしまいじゃ。
本当に弱い奴っちゅうのは、自分の弱さを認めようとせず、武器を持っただけで強くなったと勘違いする奴の事じゃ。
じゃが、お前は違うじゃろ?さっき風先輩に怒ったのも、わしや樹を心配してくれたからじゃろ?」
友奈が歯を出して東郷に笑いかける。
その笑みを見た東郷は、自分の身体が熱くなるのを感じていた。
「友奈ちゃん…」
「大丈夫じゃ東郷、お前は強い。わしが保証するわい!」
「ありがとう、友奈ちゃん…!」
地震を取り戻し、表情に明るさが戻った東郷。
その直後、昨日と同様にスマートフォンからアラームが鳴り響き、樹海化警報の文字が表示される。
バーテックス出現の合図である。
「行くぞ東郷!勇者部、出撃じゃあ!」
「うん!」
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