九頭竜八一「強くなる秘訣が知りたいですか?」空銀子「知りたい」
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11:名無しNIPPER[sage]
2018/06/12(火) 21:23:45.05 ID:DuefMiIs0
思わず、ごくりと喉が鳴った。
すると八一は、にやりと嗤い。
すっと、錠剤をまた差し出してきた。

八一「要ります?」

正直、欲しかった。
しかし、理性がそれを拒絶する。
とりあえず、落ち着こう、冷静になれ。

そもそも、薬に頼る時点で間違っている。
スポーツ選手で言うところの、ドーピングだ。
もっとも、棋士にそうした規定や規則はない。
風邪気味ならば風邪薬を飲むし、対局中に目薬を差したり、栄養ドリンクを飲むのも自由だ。
ならば、下剤だって問題はない筈だ。

いやいや、それはおかしい。
断じて、間違っている。人として。
銀子は地球人だ。なりたいのは将棋星人であって、うんち星人ではない。ここ、重要。

そんな彼女の葛藤を察してか、クズ竜八一が悪魔の囁きを投げかける。こんな風に。

八一「姉弟子、頑なになる必要はありません」

銀子「だって、これはあまりにも……」

八一「何も実戦で服用しろとは言いません。要は、感覚を掴む為の訓練なんですよ」

銀子「訓練?」

八一「ええ、特訓と言ってもいいでしょう。覚醒を誘発して、その感覚を理解するんです」

八一の言葉はまるで魔法のようだった。
銀子の中のわだかまりが溶けて、消えていく。
彼の言う通り、実戦で服用する必要はない。
プライベートの研究で、試してみるだけだ。
それで何かを掴めるのならば、価値はある。
たとえ、悪魔の魂を売ってでも、私は。

そこでふと、師匠の言葉が脳裏をよぎった。

『将棋の神様は、いつも見ている』

ならば、神様に怒られぬようにしなければ。


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