渋谷凛「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」
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8:名無しNIPPER[saga]
2018/06/08(金) 01:36:44.58 ID:I88sbQdx0
俺はプロデューサーをやってた時期も、だいたいにおいて暇だった。その前はもっと暇だったけれど、いろいろあってCGプロの社長に拾われたわけで、少しは忙しくなるんじゃないかと入社時は思っていたのだが。
兎に角そういうことで、時間に余裕のあった俺は春学期のうちに免許も取り終えたし、学業の方も単位だとかそういうレベルの話でよければほぼ完璧にこなしていた。
そこに変化がおとずれた。8月から9月にかけて、大学の夏期休暇に差し掛かったのである。
休みの間はさらに暇で、特に9月は世間の休みは終わりでアイドルの仕事が少し減る、とりわけ凛のような売り込み中のアイドルはイベントが減ると仕事も大きく減る、そういう月なのに俺だけ学校もないものだから、腐るほど空き時間が生まれた。
だから俺は今まで免除されてきた事務や、本格的な営業にも手を伸ばすことにした。
有り体に言えば暇を持て余したのだ。
「でもプロデューサーさんは飲み込みが早いですね。このままじゃ私のやることがなくなっちゃいそうですよ」
ちひろさんはそう笑ってくれたが、勿論お世辞なのは分かっていた。彼女はそんな風に喋りながらも、俺の5倍は速いペースで事務をこなしていたのだから。
「あはは…うーん、でも本当に、特に営業方面は、才能あると思いますけどねぇ」
戯れにお世辞でしょうと指摘すると、そう答えてちひろさんは優しげな顔をした。それは、嘘ではなかったかもしれない。
俺は営業を始めて二週間である作曲家に気に入られ、次の週には凛の専用曲が作られることになったのだから。
加えてライブシアターでも評判はまずまずだったようで、その次の週のうちには合同ライブのトリ手前で新曲発売の機会が設けられることになった。
俺が関わり出した頃に一気に凛の活動に進展があったのは九割がた偶然だろうが、ともかく、そこから彼女は一気に前に進み出した。
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