【バンドリ】羽沢さんの懺悔室-SS速報VIP

【バンドリ】羽沢さんの懺悔室

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7:名無しNIPPER[sage]
2018/06/07(木) 08:09:49.45 ID:rpOJnS4j0

「……うむ。実は、我は神を裏切ってしまったことがあるのだ」相手が私だと気付いていないだろうあこちゃんは、声色を低くして仰々しい雰囲気で言葉を返してくる。「その昔、かけがえのない友を救うために闇の力が必要になり、我は自ら堕天の道を選んだ」

　何かのゲームの話かな？　と思いながら、私は黙ったままあこちゃんの声に耳を傾ける。

以下略 AAS

8:名無しNIPPER[sage]
2018/06/07(木) 08:10:24.70 ID:rpOJnS4j0

「はい。あなたの行いは、愛すべき友人のために自らを禁忌の道に落とす、いわば自己犠牲の奉仕です。己を顧みずに隣人を助けること、それは無償の愛です。神様はあなたが持つ友愛の精神を祝福するでしょう。その清い志を持ち続ける限り、真の意味であなたが邪道に落ちることはありません」

「おお……」

以下略 AAS

9:名無しNIPPER[sage]
2018/06/07(木) 08:11:15.21 ID:rpOJnS4j0

「ん～？　なんだろ、この出し物……えーっと……『シスターＴの懺悔室』？　へぇー、なんか面白そうっ」

　そんなことを考えていると、少しハスキーな声が廊下から教室に入ってくる。これも聞き覚えのあるものだった。誰の声だっただろうか。

以下略 AAS

10:名無しNIPPER[sage]
2018/06/07(木) 08:12:17.66 ID:rpOJnS4j0

「気になる……ですか？」

「うん、そーなんだよ。最初はね、あたしには分からないことだらけの彩ちゃんが面白いなってだけだったんだけど、段々それとも違うなーって気持ちになってきてるんだ。なんていうんだろ、おねーちゃんと一緒にいる時に似てるような、でもちょっと違う気持ちっていうか……。『るんっ♪』ってするんだけどそれとも少し変わったような感じっていうか、よく分からない気持ちなんだよね。シスターさんはどう思う？」

以下略 AAS

11:名無しNIPPER[sage]
2018/06/07(木) 08:12:47.74 ID:rpOJnS4j0

「……ご自身が抱く感情の正体が分からないというのであれば、もっとその気持ちに素直になってみてはいかがでしょうか」

「素直に？」

以下略 AAS

12:名無しNIPPER[sage]
2018/06/07(木) 08:13:30.22 ID:rpOJnS4j0

　遠慮がちな教室の扉の開く音が聞こえてきたのは、日菜先輩が出て行ってから約十分後のことだった。

　勢いよく開けられた扉が壊れていないか確認してから懺悔室の中に戻り、事前に用意してあったカンペや格言集に目を滑らせていた私は、音のした方へ視線を送る。

以下略 AAS

13:名無しNIPPER[sage]
2018/06/07(木) 08:14:31.84 ID:rpOJnS4j0

（この声……友希那先輩だよね……？）

　衝立越しで少しくぐもってはいるけど、聞き間違えるはずない。ライブハウスやＣＤで何度となく紗夜さんのギターと一緒に聞いているものなのだから。

以下略 AAS

14:名無しNIPPER[sage]
2018/06/07(木) 08:15:08.61 ID:rpOJnS4j0

「でも……ある日、気付いたの。私がみんなを引っ張ているようでいて……その実、私はみんなに助けられてばかりいたんだって。そう気付いた時には……バンドがバラバラになりかけていた。……それもきっと私のせい、で」

「…………」

以下略 AAS

15:名無しNIPPER[sage]
2018/06/07(木) 08:15:34.84 ID:rpOJnS4j0

「……バンドメンバーに、幼馴染がいるの」やがてポツリと友希那先輩の口から言葉が漏れる。「気付けばいつも隣にいてくれる……大切な幼馴染がいるの。何かあっても、きっとあの子がなんとかしてくれる。私は……そう、無意識のうちに、あの子を頼ってばかりいた」

「…………」

以下略 AAS

16:名無しNIPPER[sage]
2018/06/07(木) 08:16:30.19 ID:rpOJnS4j0

　だって、つまり、友希那先輩はリサ先輩が――いや、幼馴染のバンドメンバーさんが、その、色んな意味で好きってことで……私なんかが口を出していい問題じゃないのは確実だ。

（で、でも……友希那先輩は私じゃなくてシスターＴさんを頼ってるんだから……少しでも力になれるようにしなくちゃ……）

以下略 AAS

17:名無しNIPPER[sage]
2018/06/07(木) 08:17:01.50 ID:rpOJnS4j0

「……いえ、辛くはないわ。あの子との時間は、むしろとても楽しいわ。ただ……一人になった時に、この気持ちのことを考えてしまうだけで……」

「そうですか。それなら、今まで通りでいいので、もっともっとその方と向き合ってみてはいかがでしょうか。一人では解決の出来ない悩みですから、その方との時間を大切にしてください。そして何より、あなた自身の気持ちを尊重してあげてください」

以下略 AAS

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