提督「時雨、梅雨、雨、かたつむり」
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12:名無しNIPPER[saga]
2018/05/30(水) 15:49:55.17 ID:OsyhJzOS0
気付いた時には連装砲を取り出し、姉に向かって撃っていた。姉の困惑した死に顔の空虚な瞳と目が合うと大潮は逃げ出し、部屋の隅で慟哭した。その時のことを大潮はうまく記憶していない。

ただ「こんな悪意は許されない。こんな悪意は許されない。こんな悪意は許されない」と繰り返していたのは覚えていた。それは己の行為を責めるものより、世界の仕打ちに対しての怨嗟であった。

朝日によって目が覚めた大潮は時計を見るなり、連装砲を己の頭にあてがい撃ちぬいた。

目が覚めた大潮は、部屋を出ると埠頭で海をただ漫然と眺めていた。すると声をかけられた。「随分と酷い面構えだ。どうした」。いかにも正気じみた司令官だった。無視していた大潮の隣に座り、司令官は大潮の手を握った。

驚く大潮と目が合った司令官が微笑む。その瞬間大潮に起きた変化は筆舌しがたい。幾度となく姉と結ばれるのを見てきていたのだ、もしかしたら無意識のうちに諦めてしまっていたのかもしれない。

手に入らないと。その前提こそが致命的な間違いだった。司令官はこんなにも近い。同じ世界に存在しているではないか!


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