【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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818: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/02/02(土) 21:38:40.47 ID:fXHa/LYp0





夏が終わり、秋になった。なったらしい。

私が外の様子を知ることが出来るのは、カーテンの隙間から入る朝の日差しと、何日かに一回コンビニに行く夜道だけだった。

そして今も、カーテンから漏れる日差しが私に朝が来たことを伝える。

もっとも、今の私にとって朝も昼も夜も意味を持たないものなのだが。

あの日以来、私は、学園艦の自室にずっと籠っている。眠れない夜を越え、気絶するように眠りに落ちて、また目覚めて。

そんな事をずっと繰り返している。

今日もそうだ。眠れないまま日が沈み、眠れないまま夜が明けた。おそらくそのうちに私の意識は闇に沈んでいくのだろう。

それだけが、今の私にとって唯一の楽しみなのかもしれない。眠っている間だけは、何も考えずに済むのだから。

そんな事をベッドの上で考えていると、チャイムの音が部屋に届いてくる。

私はそれに小さく舌打ちをすると、気だるい気持ちを無理やり抑えて体を引きずるように玄関へと向かわせる。

なんとか玄関にたどり着くと、扉に寄りかかって三和土に座り込む。タイルと扉の冷たさに少しだけ心地よさを覚えるも、鬱々とした感情にすぐに塗りつぶされてしまう。


まほ『みほ……』


扉の外からお姉ちゃんの声が聞こえる。私は扉に後頭部を軽く打ち付けて返事をする。


まほ『みほ……その、元気か』

みほ「元気だよ」


いつだってお姉ちゃんが最初に言う事はそれだ。そんな事を聞いて何になるのか。

本当はこんなことしたくない。誰かと会話なんてしたくない。けれど、無視をすれば私が『どうにかなった』と思われて部屋に入られてしまう。

それは嫌だから、仕方なくドアを挟んだ会話だけはするようにしている。


まほ『そうか……なら、良かった』

みほ「聞きたい事はそれだけ?なら、もう学校行きなよ」


お姉ちゃんは私が籠りきりになって以来、登校前と放課後に私の部屋の前にやってくる。

そして扉を挟んでどうでもいい事を話すのが日課になっているようだ。

くだらない。私の事なんか放っておいて欲しいのに。

気だるさが心身を蝕んでもうベッドに戻ろうかと思っていた時、お姉ちゃんの気遣うような声が扉越しに伝わってくる


まほ『……みほ、やっぱり家に戻らないか?ちゃんと、病院に行こう』

みほ「嫌だ」





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