【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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282: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2018/07/14(土) 22:15:49.83 ID:ZxPhTSO60
大好きな戦車道を、憧れの場所で学ぼうと思い黒森峰に入った。
ここでなら強くなれると、自分の戦車道ができると思って。
そして、身の程を教えられた。
自分より強い人なんていくらでもいて、努力で巻き返そうとしても強い人たちは私なんかよりずっと努力を重ねていた。
才能も、努力でも敵わないのなら、私は何のためにここに来たのだろうか。
自分がすべきことも、できることも、やりたかったこともわからなくなり、私はいつの間にか戦車道を楽しめなくなっていた。
そんな人間は他にもいて、私はいつの間にかその人たちと同じように日々が過ぎ去るのを祈るばかりになった。
そんな私たちを頑張っている人たちは見下す。口には出さずともその視線が、表情が、私たちはダメだと伝えてくる。
何も思わなかった。だって、何よりも自分が一番良く分かっているから。
自分が一番、自分を見下しているから。
だけど、無為な日々を過ごす中で、それでも優しくしてくれる人がいた。
『頑張ることは無駄なんかじゃない。最初から強い人なんて誰もいないんだから』
その言葉に勇気づけられ、私は再び頑張ろうって思えた。
その言葉に強い感銘を受けたとか、そんなんじゃない。
ただ、ダメな自分を見捨てていない人がいてくれるのが嬉しかったから。
たとえ今はダメでも頑張って努力して、少しで前に進もうとした。
出遅れた私に実力の差は大きくのしかかってきた。
それでも、毎日少しずつ、できる事からやっていった。もう立ち止まらないために。
あの人に少しで近づくために。
そしてある日気づいてしまった、この人は私の事を見てなんかいない。いや、自分の事すらどうでもいいと言わんばかりにその瞳に何も映してないのだと。
あんなにも強く、優しい人が何故あんな瞳をしているのか私にはわからなかった。
だとしても、あの日かけてくれた言葉に私は勇気づけられた。たとえその言葉に何の意味も込められていなくても、去って行く人たちがいる中でそれでも踏ん張ろうと思えたのはあの人の言葉があったからだ。
私は足掻き続けた。私が一歩進むごとにあの人の正しさを証明できると信じたかったから。
そうすれば、いつかあの人が困難に遭った時に手を差し伸べられると思ったから。
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