和久井留美「明るい未来の話を」-SS速報VIP

和久井留美「明るい未来の話を」

↓ 1- 覧 板 20

31:名無しNIPPER[saga]
2018/05/24(木) 01:24:56.66 ID:0Wv/HTop0
………
……
…

ある日、フロアボードに張り出された辞令書の営業所の地名に覚えがあった。

32:名無しNIPPER[saga]
2018/05/24(木) 01:27:55.66 ID:0Wv/HTop0
営業所に連絡をしたのは定時を過ぎてから。
他の人に聞かれるのは憚られる気がして、自然と足が屋上へ向かわせた。

携帯のキーパッド入力で番号を入力する。
連絡しようとしたのは初めてではないので、営業所の番号は指が覚えてしまった。

以下略 AAS

33:名無しNIPPER[saga]
2018/05/24(木) 01:28:25.04 ID:0Wv/HTop0

「申し訳ございません、○○は退職されましたが――」

34:名無しNIPPER[saga]
2018/05/24(木) 01:30:07.79 ID:0Wv/HTop0
別れの言葉も、感謝も伝えられないまま、彼とのつながりは完全に断たれた。

そうして。
私の心は止まったまま、時間だけが過ぎていった。

以下略 AAS

35:名無しNIPPER[saga]
2018/05/24(木) 01:32:11.31 ID:0Wv/HTop0
入社から4年目になる、その年の新入社員歓迎会で、部長の横に座らされた。
部長の機嫌を取りながら飲むお酒のなんと不味いことか。

一次会終わったらさっさと帰ろう。
私はそう心に決めて、食べるもの食べて、飲むもの飲んで。適当に部長の相手して。

以下略 AAS

36:名無しNIPPER[saga]
2018/05/24(木) 01:33:15.28 ID:0Wv/HTop0
「ちょっと休めるところまで頼む」

部長は、運転手に向かって言う。

休めるところ？

以下略 AAS

37:名無しNIPPER[saga]
2018/05/24(木) 01:35:09.61 ID:0Wv/HTop0
「……部長、どういうつもりですか」

「おいおい、みなまで言わせるのか」

「奥様もいらっしゃるのに？」

以下略 AAS

38:名無しNIPPER[saga]
2018/05/24(木) 01:37:42.32 ID:0Wv/HTop0
タクシーが去り、周囲に人影もない。駐車場から建物の入り口まで、もう数メートルの距離。

部長の手が私の右手首を掴んだ。
抵抗する間もなく無理やり引き寄せられ、腰に手を回される。

以下略 AAS

39:名無しNIPPER[saga]
2018/05/24(木) 01:39:45.23 ID:0Wv/HTop0
「……嫌ッ！」

掴まれていない左手で、部長の頬を思い切りはたく。
掴まれた力がゆるくなった一瞬で振りほどき、それから、走って逃げた。

以下略 AAS

40:名無しNIPPER[saga]
2018/05/24(木) 01:40:43.71 ID:0Wv/HTop0
翌日出社すると、どことなくフロアの雰囲気がおかしい。
問い掛けるような視線を隣の席の子に向けるが、さりげなく目を逸らされる。
それからというもの、部屋の女性があからさまに私を避けるようになった。

部長から何かよからぬ噂を流されているのだろう。

以下略 AAS

56Res/35.55 KB

↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20

VIPサービス増築中！
携帯うpろだ|隙間うpろだ