3: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2018/05/18(金) 23:24:53.47 ID:lFsgkv9uo
「でも1人の女子から言わせてもらうと」
「女子?」
「女子ですよ!」
ちひろさん、笑顔で足を踏まないでください。
「美穂ちゃんはプロデューサーさんに対して強い憧れを抱いていましたからね。あんまりこういうこというと怒られちゃうんでしょうけど、素敵な衣装を着て観客の前で歌った時と同じくらい、プロデューサーさんが近くにいるとあの子笑顔でしたから」
ちひろさんの言葉に胸が痛くなる。美穂を応援しているファンのみんなは当然俺と彼女の関係を知らない。美穂がインタビューなんかで俺の話題をする事があるくらいで、プロデューサーなんて所詮は裏方家業だ。
「正直、裏切っている罪悪感はあります」
プロデューサーはそのアイドルの1番目のファンである。でもだからって、他の人には見せない笑顔を独占しても良いのだろうか。もし俺にしか見せない笑顔をみんなに見せる事ができたのなら、彼女のファンはもっと増えたんじゃないだろうか。自問自答にキリはない。
「そう思っているだけ、プロデューサーさんはマシな部類です。酷い時は2人だけの世界を作って周りが見えなくなっちゃうなんてのもありましたからね」
自分たちだけは大丈夫だ、なんて言える保証はない。アイドルとプロデューサーである以前に人間である、男と女である。いつどこで間違いが起こるかなんて想像が出来ないのだから。
「どちらにせよ。美穂ちゃんを泣かせちゃダメですよ」
「肝に命じておきます」
ちひろさんの言葉が重く響く。
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