9: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2018/05/18(金) 22:45:49.55 ID:O0+7TRfs0
そうおっしゃる高垣さん。その言葉に私は顔を上げました。
目の前には先ほどと変わらぬ、柔らかい笑み。
「歌織さん?」
10: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2018/05/18(金) 22:47:12.98 ID:O0+7TRfs0
ぽーん……
ピアノの音が、レッスンスタジオに響きます。
11: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2018/05/18(金) 22:48:27.11 ID:O0+7TRfs0
C(ツェー)の音に促され、私はピアノを弾き始めました。
『ローレライ』 ジルヒャーの曲です。
小さいころから弾き慣れた曲を、紡いでいきます。
一音、一音。私は、漂う音に身をゆだねるのでした。
12: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2018/05/18(金) 22:49:23.59 ID:O0+7TRfs0
「どうしたの? そんな浮かない顔して」
「……え」
ふいにこのみさんから出た言葉に、私は戸惑います。
13: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2018/05/18(金) 22:50:21.64 ID:O0+7TRfs0
え?
驚く私に、このみさんはくすりと笑います。
「んふふ、そっか……図星ね」
14: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2018/05/18(金) 22:51:10.21 ID:O0+7TRfs0
このみさんは、語り始めます――
楓ちゃん、あのとおり美人だし歌もうまいし、そんでもって気さくだし飾らないし。
人気になるのもわかるわね。
15: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2018/05/18(金) 22:52:12.87 ID:O0+7TRfs0
楓さんの話は、続きます――
楓ちゃんと初めて会ったのは、歌織ちゃんと一緒。歌番組だったなあ。
なーんか浮世離れした雰囲気でね。つかみどころなくて、ちょっと違うアイドルだなって、思ったの。
16: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2018/05/18(金) 22:52:53.14 ID:O0+7TRfs0
わあ……
このみさんのコミュニケーション力はすごいなあ、と。
私は感心せずにいられません。
17: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2018/05/18(金) 22:54:09.17 ID:O0+7TRfs0
その言葉を聞いて、私はしばし呆けてしまいました。
すごいのは高垣さん、貴女のほうです。
私は貴女の歌に、惹かれているのです。何とは言えない、なにかに。
18: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2018/05/18(金) 22:55:04.20 ID:O0+7TRfs0
私の頬を、このみさんがつまみます。
「ほーら……変な顔しないの!」
「……あの……変な顔、してましたか?」
79Res/35.56 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20