これから日記を書く 8冊目
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315:ブレイクタイムでもなく本編に関わりは多分ないと思う幕間  ◆e6bTV9S.2E[saga]
2019/07/22(月) 04:11:50.01 ID:dmhrVWEl0
『ある種の顛末』

いつからここに住んでるかなんて、もう覚えてない。あいつが気に入って、それでそのまま居ついて。なんだかんだ生きてこられた。
隊長達がやられて、どうなるもんかと思っていた。井門のことも憎んだ時期もあったが、それももうどうでもいい。今の方が、軍隊時代より穏やかに。穏やかに過ごしているんだ。
林が両脇にある、舗装されてない小さな土がむき出しの道。その先に俺達の家がある。少々ぼろい、それこそ岬にあるから海の家みたいに見える外観だが、ゾンビどものうめき声も聞こえない。波の音と潮風が心地いい。
軋む音を立てて家に入る。その音が聞こえたからか、寝室から物音がする。きっとあいつが起きたんだろう。自然と、顔がほころぶ。
寝室の扉を開ける。今日もちゃんと、そこにいる。ベッドで横になる姿が、俺には今でも可愛らしい。

例えそれが、猿轡をされて拘束されている状態だったとしても。

こうなったのは、いつだったかなんて覚えてない。大事なのは、こうなっても生きていること。例え、両手が鋭利な爪が伸びていても、生きていればいい。
そのうち、ゾンビから人間に戻れる薬ができるかもしれない。戻ったら。戻っても変わらない。ここで一緒にのんびり暮らす。話してた、畑で果物を一緒に作るとかもやるんだからな。
出入り口の近くにおいた椅子に座る。回収した食糧なんかを入れたバッグを、その横に置いて、眺める。

遠い真夏の記憶のように、ワンピースを着て水を撒く姿が、俺には見えていた。


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