267:ブレイクタイムでもなく本編に関わりは多分ないと思う幕間 ◆e6bTV9S.2E[saga]
2019/03/11(月) 03:11:38.03 ID:1zkEsNdh0
『超えるべき試練(かべ)、受けるべき試練(かくご)』
あの日から、恐怖というものはいつでも感じているものだと、思っていた。けど、それは思い上がりで、この人との戦うということは、その恐怖そのものが胃と胸を侵すようだ。
見えない剣先をギリギリで感じて、飛び跳ねながら避ける。同時に、反転しながら弾丸を撃ち込む。そうしたところで、もういない。姿は見えない。
「(見えない相手の戦い方なんて、訓練したこともねぇからな…)」
使った弾丸の数を頭に叩き込む、リロードしてる暇すら怖い。恐怖で抑え込んでいるものを、死の予感に変わって、動きそのものを鈍くしてしまいそうだ。あの人と敵対した相手は、こんな恐怖を味わっていたのか、想像して、それでもまだ生ぬるいと感じた。
俺はあの人のことをよく知っている、知っているからこその恐怖とも、俺は戦っている。それに比べれば、今までの相手は大したことじゃない。そして、だからこそ、今はそれを超える。より、守るべき力を手にするためにも。
恐怖で鋭敏化している神経を研ぎ澄まして、銃弾を撃ち込む。動く気配がした。
「…そうだ。だが、それだけで俺には勝てないぞ。井門」
「でしょうね」
突破口はある。見えないかもしれない、でも俺は、この人をわずかながら感じられる。それがこの人の、見方だ。
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