2:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/14(月) 21:00:42.82 ID:xVphMpFA0
俺は昔、地下アイドルのライブにハマっていた。
彼女たちが不器用に自分を表現しようとする姿が好きだった。
拙いステージを盛り上げようとする客達の熱気が好きだった。
3:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:01:10.29 ID:xVphMpFA0
……その中で一人、気になる子がいた。
気になると言っても恋愛感情ではない。
その子は独自の世界観を持ち、それを自らの努力で表現しようとしていた。
4:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:01:44.96 ID:xVphMpFA0
しかし――
彼女はどんなに疲れていようと、
どんなに体調が悪かろうと、
5:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:02:12.31 ID:xVphMpFA0
彼女は「ウサミン」。
地下のステージで特異な輝きを放つ彼女。
本名は知らない。
6:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:02:41.55 ID:xVphMpFA0
彼女のファンも少しずつだが増えていき。
常連たちと軽口を叩き合うような楽しい空間。
彼女が作りたかった世界がきっとここには完成していた。
7:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:03:10.35 ID:xVphMpFA0
――ある日を境に彼女は地下のステージに姿を現わさなくなった。
不思議に思うものは誰もいなかった。
ここはそういう場所だ。
8:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:03:38.17 ID:xVphMpFA0
「あぁやっぱり」
「よくある事だよ」
「残念だ」
9:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:04:13.55 ID:xVphMpFA0
――時は流れて数年後
社会人になった俺は毎日くたくたになって家に戻る。
学生時代に好きだったことをするような気力も無く、たまの休日は家で寝ているだけ。
10:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:04:56.39 ID:xVphMpFA0
安アパートの一室。
カンカンと音を立てて階段を登り、自分の部屋へとたどり着く。
スーツを脱ぎ、テレビの前にドカッと腰を下ろし電源を入れる。
11:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:05:52.98 ID:xVphMpFA0
このコメンテーターみたいに何かに夢中になれるということはもう無いだろう。
そんな体力はもう残っていない。
仕事をしながら好きな事をやるって大変だな…
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