2: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 01:34:32.65 ID:aw+Q2owr0
そのアパートは四畳半一間の木造モルタル、風呂なしトイレ共同の築ざっと半世紀。
唯一の自慢は都心にもかかわらず家賃が四桁台という安さ一点突破ぶりで、
平成も終わるご時世によくまあ生き残っていたと思うほどのまさに「建つ骨董品」。
――というのが、おおかたの評となりましょう。
一体どこのどなたが管理しているものか存じ上げませぬが、大層オンボロで住民ゼロにも関わらず、
「入居者募集」の看板を今なおしぶとく掲げておられます。
今にも崩れそうなその佇まいは、住宅街の一角で道祖神のように半ば風景と一体化しておりました。
掲示される家賃の数字は下がる一方で、近頃はついに水道光熱費の合計をも下回りそうになる始末。
ただ古いだけならまだしも、どうしてそこまで値下がりを続けるのかと申せば――――
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