26:名無しNIPPER[saga]
2018/05/13(日) 23:38:01.49 ID:wI09scti0
無表情なまま、彼女は私の手を見つめている。
そっと手を伸ばして掴むと、その小さな唇を近づけてくる。
人差し指に、吸い付くように触れる。
そのまま口の中に差し入れられ、歯の圧力を加えられる。
痛くなかった。
まったく痛くなかった。
寧ろ、心地よいくらいで。
彼女はとても熱心に、私の指を噛み続けた。
人差し指だけでなく、中指や薬指も口に含まれる。
彼女の表情が変わることはない。
けど、それは明らかに「美味しいものを必死で食べる子供」の様子だ。
「……美味しい?」
そんな私の質問なんて耳に入らないくらい必死に、私の指に夢中になってくれている。
ああ、よかった、喜んでもらえた。
私の出した食べ物が。
私は、先ほどの事を思い出す。
あの部屋で、あの子達は、私のある部分を、望んでいた。
声に出されたわけではないけど、私のある部分を食べたがっていた。
そう、そうだ、あの時は怖くて拒絶したけど。
今なら……。
きっと私は、ちょっと頭がおかしくなっていたのだろう。
この時、自分が見つけた「解決策」がとても素晴らしいことに感じられてしまったのだ。
だから、私は彼女に顔を近づけて、こう言ってしまった。
「……ね、もっと美味しいもの、食べたい?」
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