12:名無しNIPPER[sage]
2018/05/06(日) 11:09:54.29 ID:aJ/73BMS0
千聖「なら良かった。駄目よ、こういう人の多い場所で私の手を離しちゃ。電話も通じなかったし本当に心配したのよ? あなたにもしも何かあったらって思うだけでも私は悲しいんだから」
つぐみ「そ、そこまでのことかな……」
千聖「そこまでのことよ。こんな魔境みたいな場所ではぐれて連絡もつかないなんて恐ろしいわ。それに東京には怖い人がたくさんいるんだから。お姉ちゃんは芸能界でずっと生きてたからそういう人を多く見て来たわ。特に純粋なつぐみみたいな子は悪い人の標的にされやすいんだから、ちゃんと自覚を持たなきゃ駄目よ」
つぐみ「う、うん……心配かけさせちゃってごめんね、お姉ちゃん」
千聖「いいえ、反省してくれたのならそれでいいのよ。あなたが無事なら何よりだもの。さ、それじゃあ行きましょうか。今度は私の手を離しちゃ駄目よ?」
つぐみ「うん――って、ちょ、ちょっとお姉ちゃん、そっち違う! 目的地と逆方向の電車になっちゃうよ!」
千聖「あら……そうなの?」
つぐみ「そうだよ。そっちじゃなくて、こっちの方のホームに行かないと……」
千聖「……つぐみ、電車に詳しいのね」
つぐみ「詳しいっていうか当たり前のことだと思うけど……」
千聖「小さい頃は『おねーちゃん、おねーちゃん』って後ろをついてきてたあなたもこんなに立派になって……ちょっと感慨深いわ」
つぐみ「大げさだよ、お姉ちゃん」
千聖「いずれはつぐみも私の元を離れて遠くへ行っちゃうのかしらね……少し寂しいわ」
つぐみ「だ、大丈夫だよ、そんなのまだまだ先のことだから。ほら、早く行かないと電車に間に合わないよ?」
千聖「そうね。こうやって一緒にお出かけできる日も段々と少なくなってしまうものね。貴重な1日を無駄に潰すわけにはいかないわ」
千聖「それじゃあ案内を頼むわね、つぐみ」
つぐみ「うん。任せてね、お姉ちゃん」
つぐみ(……お姉ちゃん、いつもはすごくしっかりしてるのに、駅にいると本当にすぐ迷子になるんだもんなぁ)
つぐみ(駅構内で後ろを振り返ったらお姉ちゃんがいなかった時の恐怖……ちょっとでいいから分かって欲しいな……)
つぐみ「はぁ……」
千聖「……? どうかしたの、つぐみ?」
つぐみ「ううん、なんでもないよ。楽しみだね、水族館」
千聖「ええ、そうね」ニコ
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