白菊ほたる「もう雨あがりに虹が掛かることもないんでしょうか」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2018/05/01(火) 15:07:49.73 ID:47m1SMXJ0
「ええと……。太陽じゃないなら、何が月を照らしているんですか……?」
「決まってるじゃないですか。地球ですよ」
まるで、なんてこともない常識かのような口ぶりでした。
地球が、月を照らしている……?
「地球は、恒星じゃなくて惑星です。ただの岩ですよ。地球が月を照らしているっていうのは……どういうことですか?」
「そのままの意味です。だってほら、地球って明るいでしょう? たくさんの星があるから」
「星……?」
星があるのは、空であって地上じゃないはずです。
そう思って思わずまた夜空を見上げましたが、すぐに気が付きました。
星……。そう、星(スター)です。
「藍子さん、それって……」
「はい、私たちアイドルのことです」
こともなげに、あまりにもいつもどおりの笑顔で言ったので、なにか私のほうが勘違いをしているのかと錯覚してしまいました。
なにか、私の知らない物理法則があるんじゃないかって。
もちろん、ただのジョークだってことはわかっているつもりですけど。
「なーんて♪」
「ふふふっ……。あはははは!」
なんだかおかしくて、笑ってしまいました。
月が『どうやって』輝いているかなんて、もはやあんまり関係ないのかもしれません。
だってこの宇宙はもう、太陽が突然無くなっちゃうくらいにはめちゃくちゃなんですから。
大事なのは、月が『なぜ』輝いているかだけ。
そしてそれは、見上げる私たちが好きに解釈すればいいんです。
大胆にも藍子さんは、地球が……ひいては私たちが月を照らしていると解釈しました。
だったら、それもまた真実です。
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