白菊ほたる「もう雨あがりに虹が掛かることもないんでしょうか」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2018/05/01(火) 14:55:24.84 ID:47m1SMXJ0
「ぜんまい仕掛けのおもちゃは、太陽が照っているから動くんだ」
「ええ? ちがうよお父さん。おもちゃはぜんまいが巻いてあるから動くんだよ」
「じゃあどうやってぜんまいは巻かれたんだい?」
「わたしが巻いたんだよ」
「それで、どうしてほたるは動けるんだい?」
「うーん……。ご飯を食べたから?」
「その食べ物は太陽が照っているから育つんじゃないか。つまり、すべてのものは太陽が照っているから動けるんだよ」
小さいころ、お父さんとこんな会話をした覚えがあります。
その時の私は、お父さんの言っていることを半分も理解していなかったけど、とにかくお日さまが大事なものなんだということはわかりました。
同時に、不安な空想が湧いてきました。
もし私の『不幸』が夜の闇になって溢れ出して、この青い空をすっぽりおおってしまったら……?
そうして太陽もおおい隠してしまい、この地球の全てがピタリと停止してしまったら……?
そんな子供じみた、恐ろしい空想。
バカバカしいとは思うけど、一度生まれてしまった考えはなかなか消えてくれず、最後には泣き出してしまいました。
お父さんは必死に慰めてくれました。
でも、どうして泣き出したのかと訊かれても、この恐ろしい空想のことは結局言葉にできませんでした。
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