3: ◆bncJ1ovdPY[saga]
2018/05/01(火) 09:14:40.37 ID:w4u0dL2T0
その日は、百合子さんが先に来てて……ちょうど本を読み終わったところだった。
杏奈が入ってきて、百合子さんは持っていた小説を置いて……杏奈に、こう言ったの。
『突然だけど杏奈ちゃん!ちょっとそのまま壁際にもたれ掛かってて!』
4: ◆bncJ1ovdPY[saga]
2018/05/01(火) 09:15:16.17 ID:w4u0dL2T0
なんで指示されたのか、これから何をするつもりなのか分からなかったけど……嬉々とした百合子さんの顔を見たら、止める気にもならなくて。
百合子さんは壁際にもたれ掛かった杏奈の目の前まで歩いて来て、一呼吸。
ーーそのまま勢い良くもたれ掛かるように顔を近付けて、杏奈の耳元で……。
5: ◆bncJ1ovdPY[saga]
2018/05/01(火) 09:16:12.43 ID:w4u0dL2T0
『私、杏奈ちゃんのことが欲しくなっちゃった』
って。杏奈は焦りと羞恥で顔が真っ赤になって、何も言えないまま……気を失ったの……。
次目が覚めた時には心配そうな顔をした百合子さんが覗き込んでて、起きたのに気付くと『ごめんね、ごめんね』って杏奈に謝ってる。
6: ◆bncJ1ovdPY[saga]
2018/05/01(火) 09:16:41.35 ID:w4u0dL2T0
『さっきまで読んでた小説で出てきて、試してみたくなっちゃって……』
……って。やっぱり百合子さんはずるいよね?
7: ◆bncJ1ovdPY[saga]
2018/05/01(火) 09:17:22.50 ID:w4u0dL2T0
……え?そんなことない?
まだそんなこと言うの?百合子さんはずるいのに……
……分かった。足りないって言うなら別の話もするよ。
次は、二人で歌ったステージが終わった後。舞台裏の話ね。
8: ◆bncJ1ovdPY[saga]
2018/05/01(火) 09:18:16.39 ID:w4u0dL2T0
百合子さんと杏奈の二人で『成長Chu→LOVER!!』を歌って、大盛況の中舞台裏へと戻って行った。
二人とも疲れてたけど、それよりも喜びの方が大きくて。
『お疲れ様杏奈ちゃん!楽しかったね!』
『うん……!杏奈も、楽しかった……!』
9: ◆bncJ1ovdPY[saga]
2018/05/01(火) 09:18:55.53 ID:w4u0dL2T0
と思ったら喜びを共有して今度は安心したのか、一気にフラフラとし始めた。
『大丈夫……?』
『だ、大丈夫じゃないかも……あはは……』
10: ◆bncJ1ovdPY[saga]
2018/05/01(火) 09:19:21.26 ID:w4u0dL2T0
『もう少しだけ、こうさせて……?』
杏奈は疲れとかよりもうドキドキが止まらなくて、百合子さんを受け止めたまま硬直してた。
……やっぱり百合子さんはずるいよね?
11: ◆bncJ1ovdPY[saga]
2018/05/01(火) 09:20:15.74 ID:w4u0dL2T0
……まだ認めないの?百合子さんはずるいって。
まだまだこんなのじゃないんだから。もっと教えてあげるよ、百合子さんのずるいところ。
12: ◆bncJ1ovdPY[saga]
2018/05/01(火) 09:20:45.61 ID:w4u0dL2T0
あと……そこの事務用の机の下。亜利沙、いるの分かってるんだから。
今杏奈達大事な話してるからあっち行ってて。写真も後で消しておいてね?
「ギクッ!?な、ななな何の事でしょうか〜……?ありさは何もしてませんよ……?」
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