垣根帝督「協力しろ」鹿目まどか「ええ…」
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7:名無しNIPPER
2018/05/01(火) 00:16:25.74 ID:NRv/knmj0



分かった事がある。

"この時代"の日本には国家とは別に独立した行政権を持つ自治体がある。

そこは東京都西部を中心に埼玉県、山梨県、神奈川県を跨ぐように、外周を高さ5メートルの壁で覆われた円形の都市である。

内部は全23学区に分けられ、人口230万人中8割が学生である。

そこは最先端の科学に基づき、超能力開発なんてものを学校のカリキュラムに組み込んでいる。

そこは12人の理事と1人の理事長によって運営され日本国内でありながら独自の条例が優先される治外法権の都市である。

「……なにこれ」

スマホの大手検索アプリが表示したページを見つめながら、ほむらは絞り出すように呟いた。

看護師が仕組んだ盛大なドッキリとかじゃないだろうかと一瞬頭に浮かんだが、すぐに我に帰る。

世界的大企業が、何をとち狂ったら個人の悪戯に加担してくれるのか。

実際にテレビを付けてみればニュースキャスターが神妙な面持ちで、9月30日に起こった謎の集団昏倒事件について報じている。

思わず食い入って見ていると、突如部屋のドアがノックされた。

「暁美さーん、入りますよー」

軽い口振りで入ってきたのは30歳前後の女性看護師だった。

「血圧計りますねー」

彼女はガチャガチャとカートに乗った器具をいじりながらテレビに目を向け、

「あ、暁美さんもそのニュース見てる。最近みんなこの話題ばっかり」

「そんなに、大きな事件だったんですか?」

「そりゃあそうですよ! あの学園都市が原因究明に苦労するなんて、普通ならあり得ないことです。なんたって壁の外と内で科学技術に2、30年の開きがあるって言われてるくらいですし」

「(そんなに……一体どうなってるの)」

ほむらの囁きは看護師に聞こえなかったようで、彼女は自分も学園都市に行ってかっこよく超能力を使いたかったと喋り続けている。

(確かに学園都市の事は気になる。でも……)

実は、彼女には為し遂げなければならない明確な目標があった。

確かにイレギュラーな事態だが、あまりそちらに傾倒して"本業"が疎かになっては元も子もない。

注目はしつつ、使える物があれば拝借して己の武器の足しにするくらいの心持ちでちょうどいいかもしれない。

「でも、所詮は学生の授業だし、超能力って言っても手品くらいのものなのでは?」

「うーん……。いくつかレベル分けがされてるとは聞いたことあるけど詳しい事は分からないや。ごめんなさいね」

(まあそんなところよね。"アイツ"を倒すための戦力には間違いなくならないでしょうね)

そんな風に考えて、ひとまず超能力という単語からは思考を離すことにした。

(自分の足しになるかどうか、それだけを考えて行動しないと。余計な寄り道は良くないわ。自分の興味に振り回されないように)

血圧を計られながら、ほむらは今一度決意を固めた。






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