垣根帝督「協力しろ」鹿目まどか「ええ…」
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3:名無しNIPPER
2018/04/30(月) 23:11:18.58 ID:SF7Za39I0




10月初旬の心地よい秋風が吹き込んでいた。

看護婦が気を遣ってくれたのだろうか。

1/4ほど開けられた窓を見てそんなことを考えながら、暁美ほむらはゆっくりと起き上がる。

見慣れた病院の個室だった。

(うう……んっ)

長く昼寝しすぎたような倦怠感は毎度の事ながら慣れない。

彼女はベッドの上で軽くストレッチをすると顔を洗い、身の回りの持ち物を一つずつチェックしていく。

まるで納品された商品を検品するスーパーの店員の用な仕草だ。

それが終わると、今度は病室を出てエレベーターホールへと向かい、一階へ降りる。

受け付けロビーの片隅、数台の自動販売機が設置された待合室に一直線に向かうと、彼女はフリースペースに置かれた朝刊を手に取った。

各新聞社のものを一部ずつ。

自動販売機でコーヒーを買っていた中年の男性が、年端に合わないことをするほむらを不思議な目で見つめるが、彼女は気にも留めずいくつもの朝刊をテーブルに広げ読み進めていく。

とはいえほむらは同世代の少女らが好むであろう人気タレントのスキャンダルやテレビ欄、スポーツニュースなどには目もくれず、政治や経済、さらには上場企業一覧など大抵のサラリーマンが読み飛ばすような記事ばかり熱心に眺めている。

と、スラスラと流れていたほむらの目線が急に止まった。

原因不明の集団昏倒事件があったという記事、だが彼女の目に止まったのはその内容ではない。

(……学園都市?)

常識的に考えて、場所を説明するなら○○県○○市といった風に記載されるのが当然だが、そこにはただ"学園都市"とだけ書かれていた。

まるでそれがどこにあるのか皆が知っていて当然というように。

(……、)

「あの、ちょっといいですか?」

「え? あ、何かな?」

突然声をかけられた中年男性は少し驚きながらも飲んでいたコーヒーをテーブルに置き、ほむらに向き直る。

「この学園都市って、どこにあるんでしょうか?」

「え……?」

しまった。とほむらは思った。

質問した途端、男性の目の色が明確に変わったからだ。

彼女は分かる。これは不審と憐れみの視線だ。

ほむらがした質問は、あまりに常識外れだったのだ。

「すいません。何でもありません!」

彼女はそう言うと、怪訝な顔をしている男性から視線を外し、足早に病室へと戻っていく。

どうやらこの学園都市というのがこの世界では当たり前に受け入れられているらしい。

(前の世界では聞いたこともなかった。都道府県と同レベルでメディアに取り扱われる学園都市っていったい……)








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