レッド「無口だし幽霊」
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10: ◆nIESo90.aY[saga]
2018/04/19(木) 19:11:11.27 ID:pZdGRdJL0
生きようとしている。彼は確かに、生きようとしていると言った。
彼は幽霊なのだと、先程自分でほとんど明言したようなものなのにも関わらず、だ。
そして、彼は「生きている」とは言わなかった。生きようとしている。命を得ようとしている。その段階だと。
私は訳がわからず、いや、正直に言えば目の前に居る少年が恐ろしく、何も言えなかった。
彼はザクザクと音を立てて雪を踏みしめ、私のすぐ近くまで来て、私の顔を覗き込んだ。
「……トレーナーじゃないなら、きっと、僕の……"レッド"の事を知りたくて来たんでしょ」
「じゃあ、目的は果たした、はず。そろそろ帰って……」
何も言わずこくこくと必死で頷くと、彼はようやく子供らしい笑顔を浮かべた。
先程の話と、この過酷な環境と、目の前で笑う少年があまりにもちぐはぐな感じがして、現実だとは思えなかった。
「……それじゃあ、麓まで送ってあげる」
「その代わり」
「僕のこと、誰にも言わないで……いや、言ってもいいけど、本当の事は、言わないで」
「僕に挑戦する、強いトレーナーが、沢山来るような……言い方をして」
「そうして、沢山の人が、"レッド"がここにいるって。そう、思ったら……信じたら」
彼はモンスターボールからリザードンを出し、その背を撫でながらも、こちらを見て言った。


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