26: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:18:24.12 ID:wXMMdwi10
プロデューサーさんの瞳の中に、こちらを見上げているあたしがいる。
引き潮のように遠のいていく痛みとは裏腹に、白い額にうっすらと残っている痕が、なんだかおかしい。
27: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:18:56.07 ID:wXMMdwi10
「んー、ブースト?」
茶化すように答えるけれど、きっとプロデューサーさんは何もかもお見通しなんだろうな。
28: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:19:25.03 ID:wXMMdwi10
「いやー、なにすんのさー」
言葉とは裏腹に身体はまったく逃げようとしない。
29: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:19:55.31 ID:wXMMdwi10
「前に声出し選挙あったろ。4回目の総選挙の前のやつだ。覚えてるか?」
無言で頷く。
30: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:20:39.57 ID:wXMMdwi10
プロデューサーさんの顔が、再び少し厳しくなる。
あたしも、少しだけ身構える。
31: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:21:18.01 ID:wXMMdwi10
「冗談だ冗談。あの晩のことはよーく覚えてるぞ」
あたしだって覚えてる。
32: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:21:59.72 ID:wXMMdwi10
「明けて総選挙だ。リベンジしたな?」
「うん」
33: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:22:25.71 ID:wXMMdwi10
「1位になれたのは周子の努力のおかげだ。本当によくやったよ。目の色変わってたからなあ、あの時のお前。でもな、それだけじゃない」
小首を傾げたあたしを見て、プロデューサーさんは小さく口角を上げた。
34: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:23:23.43 ID:wXMMdwi10
「声出し選挙の結果を見て目の色を変えたのはお前だけじゃないってことだよ。
お前のファンが皆、周子にガラスの靴を履かせて、ドレスを着せて、舞踏会行きの馬車を用立てたいって思った結果がシンデレラガールだ」
35: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:24:17.39 ID:wXMMdwi10
「2位だったことに対する同情票もあったかもしれないし、1位になったから、次は別のアイドルに投票するってファンもいるかもしれん。
でもな、ずっと応援し続けてくれる、周子にまた舞踏会で踊ってほしいってファンだっているはずだ。同情票だけで1番になんかなれるもんか。
シンデレラガールってのは、そんな軽々しいもんじゃない。周子だってそれは分かってるだろ?」
36: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:24:47.42 ID:wXMMdwi10
突然投げかけられた質問の意図が分からなくて、あたしは面食らう。
椅子の背もたれが、プロデューサーさんが預けた体を受け止めきれなくて鈍い悲鳴を上げた。
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