26:名無しNIPPER[saga]
2018/04/15(日) 16:35:50.12 ID:ah/HvYxA0
座ったまま暖簾を覗き込もうと引っ繰り返った酔いどれを放って、飾ってあった色紙の埃を軽く払う。
『オススメ! こいかぜに来いかぜ♪ 高垣楓』
別に、気まぐれだ。
確かに名前があってもジャマになる事はねぇし、ちょうど暖簾も四つ切りで収まりが良かった。
特にどうって訳じゃない。
おでん屋台、こいかぜ――まぁ、悪くない。
「クッソー大将アンタ楓ちゃん来てたなら呼べよ!」
「その前にツケ払えよ」
「それはともかく」
「払えよ」
「どうだったおい、高垣楓は」
「どうってのは?」
「どうせ他に客も居なかったんだろ? お忍びの高垣楓とタイマン張ったんだろ?」
反射的に言い返そうとして、ぐっと口を閉じる。
どうも世間的にはそういう奴として扱われているらしい。
まぁ、何だ。色々と言ってやりたい事はあるが、今更オッサン共の夢を壊してやる事もあるまい。
昆布を巻きながら言ってやった。
「ああ……ありゃあ、良い女だったぜ。とびきりな」
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