12:名無しNIPPER[saga]
2018/04/15(日) 00:01:10.25 ID:ah/HvYxA0
つみれを口へ放り込み、八海山を勢い良く空にする。
満足げに目を閉じる姉ちゃんから視線を外し、隣の兄ちゃんに顎で訊ねた。
「あー、残念ながら本当です」
「む。プロデューサー、残念とはどういう」
「まぁまぁお酒どうぞ」
「おっとと……すみませんね。ふふっ♪」
手慣れた様子で話題を逸らした兄ちゃんが名刺を差し出してきた。
よく分からんが、姉ちゃんにも呼ばれた通り『プロデューサー』の文字が並んでいる。
「ほぉ……アイドルねぇ……ん?」
アイドルっつー単語が頭に引っ掛かって、それを頼りに記憶を手繰る。
煙草に火を付けて手を早めると、ようやく脇へぶら提げたラジオに思い当たった。
「……ひょっとして、さっきまでコイツで喋ってたか?」
「あ、はい」
「向こうで?」
「アルシェで」
背後を指差すと二人が頷いた。
道理で聞き覚えもある筈だ。
仕込みの最中は点けっ放しにしているこのラジオを通して、
俺は姉ちゃんにずっと語りかけられていたらしい。
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