カドック君がカルデア爆破から生還しました。【Fate / FGO】
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200: ◆.qiZSe5l06[saga]
2018/04/22(日) 16:30:17.72 ID:52hF72pvo
「ゆけ」

剣士は穴だらけの体を起こし、静かに立ち上がる。今にも砕けそうな体を魂で持ち上げる。

「ふうん。かっこいいじゃない。でも」

巨大生物にのり、追跡していた女は、それの歩みを止めさせることなく、満身創痍の男を踏み越えようとする。事実、そうすることができたはずだ。

「――――」

迫りくる巨大な影。男は無言で、納刀したまま立ち尽くす。

しかし、その生物の足は、男の頭上で制止した。

「――なんて気迫。気が変わりました。相手をしてあげましょう」

女は生物から降り、地面にたつ。

「全く困ったものです。狂化のせいで意識にモヤがかかっているよう。任されたのは追跡だったけど、この機に私を片付けてもらう予定だったってのに。邪魔だよ、アンタ」

「そちらも訳ありであったか。しかしあまり買いかぶるな。『重量オーバーだ』と蹴り落とされてしまったのでな。慰めに可憐な乙女でも口説き落としてみようかと思っただけのこと。――無論、この刀でな」

「そう。それはかわいそうに」

つまらない冗談。と、女は鼻で笑う。

しかし気を抜いたわけではない。刀に手をかけたあの男はすでにその首を狙っているのだから。

「今にも消えそうなその体で……やってみせなさい」

杖を構える女に、男の刀はぴくりとも動かない。

「大した気概だが、果し合いの前に名乗りもなしとは無礼であったな。……あえて名乗ろう。我が名は”佐々木小次郎”」

「ふぅん。田舎モンだね。アンタ。嫌いじゃないよ。……コホン。我が名は”マルタ”です」

「ほう。臆さず名乗るとは、なかなか骨があるではないか。マルタ殿」

「ノってきたわ……じゃなくて。――ええ、ええ。いいでしょう。私も応えます。海辺の聖女マルタとして、全力で応えます。来なさい。コジロウ」

「では存分に果たし合おう。……参る」

「”愛知らぬ悲しき竜よ”」

「……翼があり空を飛ぶのなら鳥だろうが、これはさて、我が刃どこまで通じるかな。……”秘剣”」


パキン、と鈍い金属音が辺りに響いた。





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